世界地図を見ると、「グリーンランドってオーストラリアより大きいのでは?」と思ったことはありませんか?
実際はその逆で、オーストラリアの面積はグリーンランドの約3.55倍あります。地図でグリーンランドが大きく見えるのには、きちんとした理由があります。
この記事では、2つの本当の大きさを比べながら、世界地図で見え方が変わる不思議をわかりやすく解説します。
オーストラリアとグリーンランドはどっちが大きい?

結論からいうと、大きいのはオーストラリアです。オーストラリアの面積は7,688,287km²、グリーンランドは2,166,086km²。比べてみると、オーストラリアはグリーンランドの約3.55倍もの広さがあります。
| 比較項目 | オーストラリア | グリーンランド |
|---|---|---|
| 面積 | 7,688,287km² | 2,166,086km² |
| グリーンランドを1とした大きさ | 約3.55 | 1 |
| 日本との比較 | 約20.3倍 | 約5.7倍 |
面積の差は約552万km²です。数字だけでは想像しにくいですが、現在の日本の国土面積は約37.8万km²なので、その差だけでも日本のおよそ14.6個分に相当します。
反対に、グリーンランドの面積はオーストラリアの約28%です。つまり「少しオーストラリアのほうが広い」という程度ではなく、実際にはかなり大きな差があります。
ところが、一般的な世界地図を見ると、グリーンランドがオーストラリアと同じくらい、地図によってはそれ以上に大きく見えることがあります。ここが、この比較のおもしろいところです。
グリーンランドがオーストラリアより大きく見えるのはなぜ?

実際にはオーストラリアのほうが約3.55倍も広いのに、なぜ世界地図ではグリーンランドが巨大に見えるのでしょうか。その理由を知るには、丸い地球を平らな地図に描くための「図法」に注目する必要があります。
原因は世界地図でよく使われるメルカトル図法
グリーンランドが大きく見える代表的な理由が、メルカトル図法です。
地球は球体に近い形をしています。一方、紙やパソコンの画面に表示する地図は平面です。丸いものを切ったり縮めたりせず、そのまま平面に広げることはできないため、世界地図にはどうしても何らかのゆがみが生まれます。
メルカトル図法は16世紀に考案された地図投影法で、角度を保つ「正角図法」の一つです。一定の方向へ進む線を地図上で直線として表せるため、航海などで役立つ性質があります。
その一方で、世界全体をメルカトル図法で表すと、場所によって面積の見え方が大きく変わります。特に北極や南極へ近づくほど、実際の面積より大きく引き伸ばされて見えます。
高緯度にあるグリーンランドほど大きく見えやすい
グリーンランドは北アメリカの北東側、北極海と北大西洋の間にあり、島の大部分が高い緯度に位置しています。一方、オーストラリアは南半球にありますが、グリーンランドほど極に近い位置ではありません。
そのためメルカトル図法の世界地図では、北極に近いグリーンランドが大きく引き伸ばされます。その結果、実際の面積差とはまったく違う印象を受けることがあるのです。
これはグリーンランドだけに起こる現象ではありません。メルカトル図法では、高緯度にある地域ほど面積のゆがみが大きくなります。
世界地図を見て「思っていたより北の国が大きいな」と感じることがあるのは、地球そのものではなく、地図の表し方が関係している場合があります。
メルカトル図法は「間違った地図」ではない
ここで気をつけたいのは、メルカトル図法が「間違った地図」というわけではないことです。
地球のような曲面を1枚の平面に表すと、面積・形・距離・方向などを世界中のすべての場所で同時に正確に保つことはできません。どの性質を重視するかによって、適した地図投影法も変わります。
メルカトル図法は角度を正しく表すことを重視した図法です。面積を正確に比較することを目的に作られた地図ではありません。
つまり、「グリーンランドのほうが大きく描かれているから地図が間違っている」のではなく、その地図が何を正しく表すことを優先しているのかを見ることが大切なのです。
本当の大きさを比べるにはどうすればいい?
オーストラリアとグリーンランドのように緯度が大きく異なる地域を比べる場合、メルカトル図法だけでは面積の差をつかみにくくなります。本当の大きさを知りたいときは、面積比較に向いた方法を選びましょう。
地球儀や正積図法で見ると分かりやすい
直感的に分かりやすいのは地球儀です。地球儀は地球と同じ球体に近い形で表現されているため、平面地図のような投影による面積のゆがみがなく、大きさや位置関係を直感的につかみやすくなります。
平面地図で面積を比較したい場合は、「正積図法」と呼ばれるタイプが向いています。
正積図法は、地域どうしの面積の比率が正しくなるように作られた地図投影法です。
その代表例の一つがモルワイデ図法です。世界全体が横長の楕円のように描かれる地図を見たことがある人もいるかもしれません。モルワイデ図法は正積図法なので、大陸や地域の面積を比較するときに便利です。
ただし、正積図法なら何もかも実物どおりになるわけではありません。面積を保つ代わりに、場所によって形などにゆがみが生じます。
オーストラリアとグリーンランドだけを比べたい場合は、両方の輪郭を同じ縮尺で並べたり重ねたりする方法も分かりやすいでしょう。世界地図の見た目だけで比べるより、実際の面積差をずっとつかみやすくなります。
オーストラリアはなぜ「世界最大の島」ではない?
ここで「オーストラリアのほうが大きいなら、世界最大の島もオーストラリアなのでは?」という疑問が出てきます。しかし一般的な地理上の分類では、グリーンランドが世界最大の島とされ、オーストラリアは大陸として扱われます。
グリーンランドは世界最大の島とされている
グリーンランドの面積は2,166,086km²で、大陸を除いた島としては世界最大です。グリーンランド統計局も「世界最大の非大陸性の島」と説明しています。
「島」と聞くと小さな陸地を想像するかもしれませんが、グリーンランドは日本の約5.7倍もの面積があります。世界最大の島というだけあって、私たちが普段イメージする島とはかなりスケールが違います。
なお、グリーンランドの広い範囲は氷床に覆われています。グリーンランド統計局の資料では、総面積約216.6万km²に対して、氷に覆われていない面積は約41万km²とされています。
オーストラリアは大陸として扱われる
オーストラリアは海に囲まれていますが、一般的な地理上の分類では「島」ではなく大陸として扱われます。Geoscience Australiaも、オーストラリアを地球上で最も小さな大陸の陸塊と説明しています。
そのため、「世界最大の島」を比べるときには大陸であるオーストラリアを含めず、グリーンランドが最大とされます。
島と大陸の境目には、「○km²を超えたら大陸」という単純な面積だけの線引きがあるわけではありません。大陸は地理学や地質学、歴史的な慣習なども関係する概念です。
「オーストラリアのほうがグリーンランドより大きいのに、なぜ世界最大の島ではないの?」という疑問には、オーストラリアは大陸として分類されているからと考えると分かりやすいでしょう。
オーストラリアとグリーンランドの違いを比較
最後に、オーストラリアとグリーンランドの違いをまとめてみましょう。面積だけでなく、位置や人口にも大きな違いがあります。世界地図で見た印象と実際の数字を並べてみると、2つの地域の違いがより分かりやすくなります。
| 比較項目 | オーストラリア | グリーンランド |
|---|---|---|
| 面積 | 7,688,287km² | 2,166,086km² |
| 地理上の扱い | 国・大陸 | 島 |
| 位置 | 南半球 | 北半球・北極圏を含む |
| 人口 | 約2,780万人 | 56,740人 |
人口は基準日が異なり、オーストラリアは2025年12月31日時点の推計人口27,801,023人、グリーンランドは2026年1月1日時点で56,740人です。面積だけでなく、人口規模にも非常に大きな違いがあります。
オーストラリアとグリーンランドについてよくある質問
オーストラリアとグリーンランドの大きさを比べると、面積だけでなく「日本の何倍?」「なぜ地図では逆に見える?」といった疑問も出てきます。最後に、気になりやすいポイントを簡潔に整理します。
グリーンランドはオーストラリアの何分の1?
グリーンランドの面積は2,166,086km²、オーストラリアは7,688,287km²なので、グリーンランドはオーストラリアの約28%(約3.55分の1)です。反対にいうと、オーストラリアはグリーンランドの約3.55倍あります。
グリーンランドとオーストラリアは日本の何倍?
日本の国土面積377,974.87km²と比べると、グリーンランドは日本の約5.7倍、オーストラリアは約20.3倍です。グリーンランドだけでも日本よりかなり大きいですが、オーストラリアはさらに広大です。
なぜ世界地図ではグリーンランドのほうが大きく見えるの?
メルカトル図法の世界地図では、北極や南極に近づくほど面積が大きく引き伸ばされて表示されるためです。高緯度にあるグリーンランドは特に大きく見えます。実際の面積を比較したい場合は、地球儀や面積比を保つ正積図法などを見ると分かりやすいでしょう。
まとめ
オーストラリアとグリーンランドでは、オーストラリアのほうが大きく、面積はグリーンランドの約3.55倍あります。
それにもかかわらず、メルカトル図法の世界地図ではグリーンランドが同じくらい、あるいは大きく見えることがあります。これは高緯度の地域ほど面積が引き伸ばされて表示されるという、地図投影法の特徴によるものです。
普段何気なく見ている世界地図も、「どうやって丸い地球を平面にしたのだろう?」という視点で眺めてみると、これまでとは少し違って見えてきますね。

